HACCP(ハサップ)という言葉をご存知だろうか。「Hazard(危害), Analysis(分析), Critical(重要), Control(管理), Point(点)」の頭文字をとってできた造語なのだが、衛生管理の国際的な手法のことを言う。食品の製造工程を細分化し、工程ごとのリスク管理を行う。これにより、万が一食品事故が発生した場合でも、どの工程に原因があるのかを迅速に究明できるというわけだ。
2021年より日本では食品関連の事業者によるHACCPの完全義務化がスタートしている。
HACCPの誕生のきっかけは、なんとNASA(アメリカ航空宇宙局)での宇宙開発計画(アポロ計画)の一環として、宇宙飛行士が食べる「宇宙食」に対して、絶対の安全性を提供するために考えられた手法だ。食品会社ピルスベリーの責任者であるバウマン博士が、技術的・科学的な根拠に基づいた工程管理により、すべての製品を保証するというシステムで、原材料と工程にある危険な要因を抽出し、それらが及ぼす営業を評価して、危険発生の予防対策を実施することで「絶対の安全性」を確保したという。
現在世界でもHACCPをやっていない国=危険 とまで言われるほど世界の常識となっている。
絶対に食中毒を起こしてはならない宇宙食の高度な衛生管理法として1960年代にNASAが考案したHACCPだが、今では食品に携わる工場も飲食店もすべて実施しているのだ。
とはいえ、さほど難しくはなく、実は家庭でも行うことができる。外食での安全は当然だが、小さなお子様がいる家庭などでもこのハサップを行ってみて、食の安全について考えてみるの良いのかもしれない。