デートの前に少し腹ごしらえをしよう。そんな気持ちでカフェに入った。気合を入れて朝ご飯を抜いたらお腹が鳴って仕方がない。

アメリカンな店内でメニューを眺め考える。ハンバーガーでは少し重い。しかしデザートではない。しょっぱいものが食べたい気分だ。
厳正なる選考の結果、オムライスを注文し暫し待っていると、ふわとろの卵がのったオムライスが運ばれてきた。何故だろう、このオムライスすごく食欲をそそられる。

口に入れてその理由に気が付く。ニンニクだ。このオムライスがっつりニンニクが効いている。デート前のチョイスではなかったと少しの後悔をしたがオムライスをかき込む手が止まらない。洋食屋の上品なオムライスとはまた違う味。一口、また一口と食べ進める。時折現れる鶏肉が心地の良い歯応えを生み出す。よくよく味わうと卵にしっかりとコクを感じる。ニンニクの効いた辛めのライス、コクのある卵。トッピングされたケチャップの仄かな甘味と酸味が完璧に調和している。うまい。美味しいとは少し違う、「うまい」なのだ。

いつもならまったりとした味に飽きがきてしまうところだが、気づけば皿の上のオムライスは残りわずかになっていた。コーラが飲みたい。120%コーラが合う。急ぎ注文すると瓶コーラが出てきた。添えられたグラスに注ぐ時間も惜しく、瓶のまま流し込む。かーーーっうまい。金夜の風呂上がりのビールくらいうまい。ビールと枝豆くらい合う。交互にかき込むといつの間にかオムライスは無くなってしまった。

しっかりと満足してしまったお腹を撫で、幸せな気持ちで満たされる。今私は歩くニンニクだが幸せだ。そんなことでつべこべ言うような男はこっちから願い下げである。

会計を済ませ外に出た時、オムライスを食べる前より少し強くなれた気がした。

※この物語はフィクションです。   (風香)

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